「記事では「見たくない表現に触れない権利」をメディアが守っていない点を問題視しているが、法的には、市営…」平 裕介のスレッド

2,3574,5562022-04-09 12:13:01

記事では「見たくない表現に触れない権利」をメディアが守っていない点を問題視しているが、法的には、市営地下鉄の列車内における商業宣伝放送に違法性がないとした最高裁判例が想起される 「月曜日のたわわ」全面広告を日経新聞が掲載。専門家が指摘する3つの問題点とは? https://t.co/slulOdvbR8

2022-04-09 12:13:01

最高裁判所第三小法廷昭和63年12月20日判決集民155号377頁・商業宣伝放送差止等請求事件の伊藤正己裁判官の補足意見は「他者から自己の欲しない刺戟によつて心の静穏を害されない利益」について憲法の観点から検討を加えている。 https://t.co/RKPju6uUHk

2022-04-09 12:13:02

(同補足意見を引用) 他者から自己の欲しない刺戟によつて心の静穏を害されない利益は、人格的利益として現代社会において重要なものであり、これを包括的な人権としての幸福追求権(憲法一三条)に含まれると解することもできないものではないけれども、 →

2022-04-09 12:14:45

これを精神的自由権の一つとして憲法上優越的地位を有するものとすることは適当ではないと考える。それは、社会に存在する他の利益との調整が図られなければならず、個人の人格にかかわる被侵害利益としての重要性を勘案しつつも、侵害行為の態様との相関関係において違法な侵害であるかどうかを判断→

2022-04-09 12:14:46

しなければならず、プライバシーの利益の側からみるときには、対立する利益(そこには経済的自由権も当然含まれる。)との較量にたつて、その侵害を受忍しなければならないこともありうるからである。この相関関係を判断するためには、侵害行為の具体的な態様について検討を行うことが必要となる。

2022-04-09 12:14:46

以上が伊藤裁判官の補足意見の重要部分だが、これに照らすと、「見たくない表現に触れない」という利益は、常に経済的な自由を含む諸権利・利益に優越するものではない、ということが分かる。法的には、個別具体的な比較衡量を踏まえず、一方の利益だけが常に優先される、ということにはならない。

2022-04-09 12:20:06

平成30年司法試験の論文答案を採点した試験委員のコメント(採点実感・法務省HP)も、「不快なものを見たくないとか,…およそあるものを見たくないという感情の保護…を当然のように制約目的として肯定…する答案」は、NGだ、と注意していますね ↓は2021年の関連ツイートです https://t.co/LYO11hdSnV

「不快なものを見たくないとか,…およそあるものを見たくないという感情の保護それ自体を当然のように制約目的として肯定…する答案が目についた。この種の利益保護を制約目的として認めることについて,検討ないし一定の留保が必要であるとの意識を持ってもらいたかった」(平成30年司法試験採点実感)

2022-04-09 14:10:41

1000RT、1500いいね!有難うございます 同じく「表現の自由」関連の告知です。私がいま担当している映画等の芸術表現助成の補助金の裁判のこともぜひ知ってください↓ (拙稿)映画「宮本から君へ」助成金不交付裁判・東京高裁判決の問題点と 表現の自由の「将来」のための闘い https://t.co/R3UUntCSwo

2022-04-09 16:30:38

地裁は、専門家組織の芸術的観点に基づく交付内定判断を尊重すべきとし、一人の俳優の不祥事だけを理由とする補助金全額の不交付決定は「違法」だと判断しましたが、高裁は真逆の判断をしました 私たちは、クラファン(CALL4)を開始しました。皆様よろしくお願いいたします! https://t.co/faaXPwY9Qc

2022-04-09 16:33:33

左が補助金不交付決定を違法とした東京地裁判決の一部、右が逆に適法とした東京高裁判決の一部です 高裁は、専門家組織が芸術性が高いと認めても「国民の理解」が得られない限り、文化芸術と無関係の抽象的な理由による官僚的判断を支持してしまいました。高裁は、「国民の理解」を言い訳にしています

2022-04-09 17:15:35

このような非専門的・非芸術的・抽象的な(具体的なリスクのない)「公益」なる概念を理由とする官僚的判断が、いとも簡単に「適法」とされるようでは、市民の「表現の自由」(憲法21条1項)や「文化的な…生活を営む権利」(25条1項)が実質的に保障されている国とはいえません。原告は上告して争っています

2022-04-09 17:15:36

高裁判決が確定すれば、映画のみならず他の芸術(例えば美術)への補助金も、さらには学問研究の助成金(科研費等)についても、当該芸術作品等を全く見てもいない人による「あーそれに税金使うのは何となくダメかもね」というアンケートが一定数集まりさえすれば、表現者を萎縮させることが可能となります

2022-04-09 17:25:30

宮藤官九郎さんの週刊文春の連載いまなんつった?の「この映像は……」(2019年11月14日号)↓でも、この「宮本から君へ」への補助金(助成金)不交付の事件が取り上げられています。これは本当に正当な評価だと思います 東京地裁もこの宮藤さんと基本的に同じ考え方で、不交付決定を「違法」としています

2022-04-09 17:34:06

違法適法の問題ではなく、自主規制の適否の問題にすぎないという意見もありますが、これも危険です。「オタク」が許しても「世間が許さない」という論法がまかり通る社会になります 特定の表現内容を「非国民」だとして(政府ではなく)「世間が許さない」とする社会を最も切望しているのは、権力者です

2022-04-09 21:32:35

①「オタク」が許しても「世間が許さない」性表現漫画の広告(不特定多数人が見る)はNGだ ②「サヨク」が許しても「世間が許さない」反戦漫画は図書館から排除しろ ③「現代美術好き」が許しても「世間が許さない」芸術祭の補助金は出すな 便利な論法です。政府は「世間」を理由にやりたい放題できる

2022-04-09 21:43:09

(太宰治『人間失格』から引用↓) 「…お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」 世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の複数でしょうか。どこに、その世間というものの実体があるのでしょう。……そう言われて、ふと、 「世間というのは、君じゃないか」

2022-04-09 21:53:16

このように《役人の本心は補助金を申請した団体の表現内容(政府批判等)が気にくわないだけなのに、それを秘し「世間」のせいにしてその団体には補助金を出さない》という手法は、卑怯ですが、裁判所も乗っかってしまうくらい巧妙です しかし、太宰もいうように「世間」とは役人の「主観」にすぎません

2022-04-09 23:24:53

前記東京高裁判決は、文化芸術の公的助成について専門的観点を軽視しても適法だと裁判所が行政にお墨付きを与えてしまっていて、強い萎縮効果を生む問題判決です 文化芸術以外の分野、特に科研費など学術関係の補助金にも悪影響が及ぶでしょう。例えば、↓の拙稿の例のように https://t.co/R3UUntCSwo

2022-04-09 23:30:38

2,000RT、3,500いいね!ありがとうございます! 宣伝になりますが、法学セミナー804号(2022年1月号)2~8頁に、助成金不交付処分を「違法」とした前記東京地裁判決(映画「宮本から君へ」助成金不交付訴訟・東京地判令和3年6月21日)に関する拙稿↓が掲載されています。皆様よろしくお願いいたします!

2022-04-10 00:07:44
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弁護士(東京弁護士会所属)。研究者→https://t.co/VMgxHwWz6S。大学で授業(行政法等)を担当(非常勤)。ヘッダーは拙稿をご掲載頂いた書籍等の一部です。ツイート等は個人的見解で所属・関係団体とは無関係です。ブログ→https://t.co/TIJ3zSVizd

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平 裕介 @YusukeTaira
110318612022-06-16 08:55:06

“ポルノ表現は表現の自由に含まれないが、ミロのヴィーナスを作って見せる自由は芸術表現だから表現の自由に含まれ、後者だけが憲法21条1項で保障される”というような考え方を、憲法学説は、これまで拒絶してきました 初宿正典ほか著『いちばんやさしい憲法入門第6版』(有斐閣、2020)87頁〔棟居快行〕

平 裕介 @YusukeTaira
130921732022-06-22 23:17:36

AV新法に限らない話だが、政策的な立法裁量が認められる場合に、立法の制定過程で特定の利益集団だけの意見聴取をしなかったというとき、立法裁量に係る判断過程が不合理だといえ(いわゆる考慮不尽)、立法裁量の逸脱・濫用とならないか。すなわち、憲法22条1項に違反する違憲立法になると考えられる

平 裕介 @YusukeTaira
5219462022-04-25 22:37:29

①国連機関が日経の月曜日のたわわ広告に抗議し一方的にマスコミに公表した件、 ②企業広告に「表現の自由」はないと断言した政治学研究者の件、 ③大学のコンサル的な人が文系研究者に、既に公表した論文をまとめたものを単著の本にしてはダメだと指導(制裁にも言及)した件、 これらには共通点がある

平 裕介 @YusukeTaira
1782262022-04-15 17:39:33

①国連女性機関「UN Women 本部」は日経新聞に「覚書などへの違反を指摘」し、月曜日のたわわの全面広告を「容認できない」と抗議 ②UN Women 日本事務所の石川所長「UN Women は…この…広告を掲載することに反対」 →①と②同時公表による“キャンセル・カルチャー”ですね https://t.co/cYYlHWkwYU?

平 裕介 @YusukeTaira
187640472022-05-12 21:42:44

ある研究者が言うには、「性交的な撮影を一括して規制する法律」が必要であり、それは「AVに限らず」「性交的な撮影を行う」場合には事前に「文化庁等に責任者や撮影方法等」の「届出」を必要とし、撮影行為自体を規制する法制度だという… これガチ言っているのか… 賛同している人、大丈夫ですか?

平 裕介 @YusukeTaira
2855802022-04-20 21:56:10

↓の図は、以前法学部の学生から、性表現(性的な表現)の自由(憲法21条1項)とハードコア・ポルノ規制に関するご質問を受けたときに回答に際して書いた(書き直した)図です 「萎縮的効果」というのがポイントで、「社会的害悪」がある性表現であっても規制されていないこと(B)には合理的な理由があります

平 裕介 @YusukeTaira
75013312022-04-23 01:39:29

営利的表現・営業広告の自由も、「表現の自由」が根拠だと解されています 例えば、渡辺康行ほか『憲法Ⅰ 基本権』(日本評論社、2016年)228頁〔宍戸常寿〕は、「営利広告」の自由につき「現在の学説は…国民の知る権利に奉仕するものとして、憲法21条によって保護されると解している」と解説しています

空 [ku] @genheiei
3954432022-05-11 01:29:12

与党を含め動きが速かったことにちょっとびっくりもしていたのだが、結果、焦点が取消権からAVの法的な正当化に、被害者の法的保護からAVの法的保護に逆転しまったようで、「足りない」「甘い」というレベルではない。法的な体裁が整うことで被害が潜在化する危険が高まり本末転倒。 https://t.co/N93EQcNWuj

山崎 雅弘 @mas__yamazaki
129734632021-08-18 15:40:18

竹田恒泰氏が私に対して起こした裁判(一審は私側の全面勝訴)の控訴審判決が、8月24日に東京高裁で言い渡されます。今回は、状況を鑑みて上京はせず、佃弁護士が当日単独で記者会見(内田さんと私のコメント紹介)され、内田さんと私の追加のコメントは後日動画で公開します。https://t.co/n819teaIGF

平 裕介 @YusukeTaira
71112352022-04-11 22:30:33

①低価値表現にすぎない、営利的広告にすぎない、②ゾーニング・TPOの話にすぎない、③自主規制にすぎない、④私人間効力の話にすぎない、⑤職場でのハラスメントと同じ、等の理由付けから、 日経の広告掲載・不掲載の問題は「表現の自由」の問題ではない、と主張するツイートが多く、正直驚いています

平 裕介 @YusukeTaira
5577312022-05-27 16:36:32

憲法学では、わいせつ図画頒布罪(刑法175条)によるポルノ表現(の過激なもの)の取締りについて、違憲説が有力です。昔のエロ本的な本ということなので、本件は少なくとも適用違憲では…? “芸術としてのエロス”「まんだらけ」社長ら5人書類送検 わいせつ写真の「ビニ本」販売 https://t.co/h4Gu9yQ8t3

話題の編み物YouTuber事件判決、ようやく読めたので簡単に書いておきますね。 YouTuberの方はもちろん、編み物や著作権に関心のある方にもとても興味深い事案だと思いますので、ぜひお読みいただけましたら。 超長文です。

holy @hori_te24
26472022-06-15 13:40:43

提訴時記者会見については、ジャパンビジネスラボ事件控訴審判決(東京高判令元.11.28労判1215-5)が、「報道機関に対する記者会見は,弁論主義が適用される民事訴訟手続における主張,立証とは異なり,一方的に報道機関に情報を提供するものであり,相手方の反論の機会も保障されているわけでは(続 https://t.co/DjSNU5bcZW

小説とか漫画とか映画というのは、作家性のある表現物ですので、そうした作品の広告について、他の商品広告と同じようにアンコンシャスバイアス解消の観点からの制約を国連機関などが制度的に求めるのは、人文的にも非常に問題が出てくるように思います。

平 裕介 @YusukeTaira
4198612022-04-27 17:48:01

営利広告の自由は憲法21条1項の「表現の自由」で保障されるのが通説で、一般的な憲法学説だというツイートに対して、「大上段」の議論は不要で問題が違うとか、もっと具体的な議論が必要という主張を見ますが、そう主張している人は、かなりの割合で「大上段」の前提を(すら)誤解しているんですよね…

「他人のツイートをスクショして投稿することは著作権侵害」と判断した話題の裁判例、ようやく読めたので、簡単に書いておきます。 全ツイッターユーザーに影響のある内容ですし、なかなか興味深い裁判例なので、ぜひお読みいただけましたら。 超長文です。

長山くん @nagayamanaga
052022-02-11 16:35:35

@ibuki_teika777 @rXxG0mQ4yySsTW4 @ovFchpN1xVwY49c 何度説明したらわかるんですか?

【有名芸能人が推す違法眼科医院!】 ・きゃりーぱみゅぱみゅ氏、元AKBら有名人が眼科医院の違法広告に登場 ・謝礼を貰ったなら有名人側も違法 ・執刀医が直前まで理事長を務めた医院は生涯保証が売りだったが後に倒産 ・同医院は堀江貴文×箕輪厚介の違法PR記事掲載 ・指原莉乃氏、宮迫博之氏らも受診

【緊急和訳】明大レペタ教授が警告する『自民党憲法改正案の最も危険な10の項目』(その1)Tumblr版 | The Asia-Pacific Journal: Japan Focus - Japan’s... https://t.co/0dBPIDqfKO

平 裕介 @YusukeTaira
4138242022-02-17 12:34:10

オープンレターを専門的見地から精読すれば個人を傷つけていないとの主張があるようだが、ムラ社会内の屁理屈で法的には間違い 最高裁判所第二小法廷昭和31年7月20日判決(民集10巻8号1059頁)は「一般読者の普通の注意と読み方を基準」に名誉毀損か否かを判断する。人文学者が基準ではなく、精読も不要